国重要無形文化財 遠山郷の霜月祭り

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程野の正八幡宮

様式

hodono001程野の正八幡宮は、旧上村程野集落の神社です。
祭日は12月14日と定められています。

祭神は、正八幡大神(誉田別命 ほんだわけのみこと)、政王大神・源王大神・両八幡(先祀・後祀)・住吉明神・ 日吉明神・一の宮・淀の明神からなる八社神、四面、所之大明神や諏訪大明神・小野之明神など23柱がまつられています。
さらに境内社として宮天伯、才若正八幡社・境之 明神などがあり、古い切り株にはガラン神もまつられます。

神社の起こりは不明です。昭和26年に火災にあってすべてを焼失してしまいました。
焼失前の祭神は12社でしたが、再建時に諏訪大明神・小野之明神などが合祀されました。

hodono002舞殿には2基の土製の竈が設けられ、神前に向かって右が「一の釜」、左が「二の釜」となって、上町や中郷とは反対になります。
その真上に吊される「湯の上飾り」は、ヒレのついた複雑な切り紙で飾られます。
湯釜のすぐ上まで垂れ下がっていますが、不思議と燃えることはありません。

屋外には、宮天伯社の横に「おわき」という竹の棒の先端に幣束を突き刺した、神々を迎える標木が立てられ、イチョウの大木には「梵天(ぼんてん)」とよぶ幣束が結わえつけられます。
また諏訪大明神を合祀するため、申・寅年には御柱祭が盛大に行われます。

 hodono004   程野の面制作の領収書 安永10年(1781)

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  • hodono003 襷の舞
  • hodono006 湯殿 竈と湯の上飾り
  • hodono007 宮天伯社と梵天

程野の式次第

程野の祭りは、12月1日に「きしめ造り」があり、鑽火(きりび)によって起こされた火で炊いた御飯で祭りに使う甘酒が仕込まれます。
前日に準備と「宵祭り(よいまつり)」、そして当日は朝から「釜洗い」などの準備をして、昼過ぎから本祭りとなります。

まず実際に火切りをして竈に火を入れたのち、「式礼」をしてから、「座揃(ざぞろえ)」などで祭場を神楽歌によって清め、神々のやってくる道を開きます。
「神帳(じんちょう 神名帳)」を奉読して全国66ヶ国の一宮を迎えて、祈願を「申上」ます。
そして、「両大神の湯」など3立の湯立てをして「四つ舞」を舞います。
「一之宮・若宮の湯」など末社の神々への湯立ての後、ふたたび「四つ舞」があります。夜中の零時近くには「御一門の湯」となりま すが、程野では神仏混淆の湯立てといわれます。
そして、「襷の舞(たすきのまい)」「羽揃の舞(はぞろえのまい)」に続いて、「鎮めの湯(しずめのゆ)」が厳重(げんじゅう)におこなわれます。
「日月の舞」で招待した一宮をお返し、以後は神社にまつる神々「御座の神(ござのかみ)」の祭りとなって、いよいよ「面神(おもてがみ)」の登場です。
翌朝を迎えた最後に、「神返し」で神々や精霊(せいれい)を追い返して、祭りを終えます。

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  • hodono009 日月の舞
  • hodono010 羽揃えの舞

面(おもて)

程野の正八幡宮の霜月祭りには、15面の面が登場します。
焼失前の面は安永10年(1781)に飯田の仏師6代目井出祐正(いでゆうしょう)によって作られた12面と塗り直された3面からなり、大変優れた面だったといわれています。
現在の面は昭和29年に作られたものです。

神太夫(かんだゆう)・姥(うば)

伊勢参りの途中で神社に立ち寄ったという設定です。
姥が氏子たちを祓い、神太夫(爺)が村人との問答の末に、釜を祓い、氏子たちの長寿を祈ります。
そして、湯釜をまわることなく、元来た道を帰ります。それはこの夫婦が日月を表し、まわってしまうと月日が早く過ぎて悪いことがあるとされるからです。

八社神(はっしゃがみ )遠山氏の御霊(ごりょう)

政王大神(まさおうだいじん)・源王大神(げんおうだいじん)、両八幡(先祀八幡=江戸家老、後祀八幡=国家老)、 住吉明神・日吉明神・一の宮・淀の明神(一の宮は遠山土佐守の奥方、他は一族)がゆっくりと舞いながら湯釜を2周します。

四面(よおもて)

最初に水王(みずのおう)・土王(つちのおう)の2面が登場して、水王は一の釜、土王は二の釜で、煮えた ぎる湯を素手で周囲にはねかけます。
これが終わると、木王(きのおう)と火王(ひのおう)が登場し、4面がそろうと、湯釜の周囲の四辺をはげしく飛び回ります。

宮天伯

最後に宮天伯が弓矢をもって登場し、最初に釜を向いて、顔で「寿」の字を描いてから、「天地が未だ固まっていない泥沼の中を堅いところを探りながら歩く」という特殊な歩き方で進みます。
そして矢を五方に射って邪悪を祓い除けます。

  • hodono011 八社神
  • hodono012 四面(木王)
  • hodono013 宮天伯

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周辺マップ

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程野・正八幡宮 遠山の霜月祭りは湯立神楽の古い形態を今も伝承しています。年も押し迫った十二月、谷の各所からは神楽歌が聞こえてきます。

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